u2world2005-01-19

  • 廃墟。

昨夜は「ドイツ零年」。何年ぶりだろう。廃墟と子供が登場すること以外覚えていない。

戦後の困難な状況で家族、知人、世間、あらゆるものから疎外された子供、エドムントは最後は廃墟だけがいることを許された場所で、でもその時には銃型の瓦礫で自殺のまねごとをしていたし、廃墟のなかを目的のなく徘徊する様はもうすでに、意志とか希望とか失った末の無自覚な忘我状態にみえる。スラブにできた穴を斜めに貫通する鉄骨のすべり台を降りた先に発見する、やはり半分破壊された自宅マンションの光景は、きっと少年の難民性の鏡写しだっただろう。そして自殺。

ひたすら廃墟の映画。表情を変えない少年の内面を安易に表現することなく続くシーンのつなぎ方の荒っぽさ、画面の強烈なコントラスト、割れる音が全て空虚を支える廃墟に思えた。