u2world2005-01-26

  • 日比谷で映画

レイクサイドマーダーケース青山真治、をみてきた。
正直全体はよくわからない。死体の顔を石で潰すときの、一回間をあけてゆっくり繰り返す鈍く重い粘着性の音と、ぬかるんだ地面を踏みしめるこちらもねちょねちょした音。冒頭、部屋の中を飛ぶ、蝶あるいは蛾、を踏みつけた際にスリッパの裏にべちょっと粘る体液と、時間の経過で髪の毛と床とを接着する死体の後頭部から流れ出た血の粘着性。これらの相似。
深夜の湖上、ボート上から見る湖岸沿いの道路を行く大音量で音楽を垂れ流す車と、今度は森の中で親と塾講師が集まっている際に木々の向こうを行く乗用車。これは両方、夜のシーンで、サーチライトのごとく秘密を共有する小さな孤立した集団の横をかすめて、この集団が外部から切断されたところにいることを明らかにしていた。「映画の地理学(われ映画を発見せり)」の中で語られていた“フルスタリョフ、車を!”のなかに登場するカラスの視線、これを“種の目”と呼んでいたが、ではないか?
サスペンスものの定石に乗っ取り、目星をつけていた真実は移り変わって次々と軸がずれていく。
最後、俯瞰からの死体の変容のCGは“名前のない森”のラスト、人間の形をした木のキッチュさを思い出す。
柄本明のマシーン・ドクター・マシーンの合理的な振る舞いからの突然の団塊オヤジ化。トヨエツのやはりクール・マシーン・クールなほとんど能面のようなツルッとした表情の裏から吐き出される赤裸々さ。
“月の砂漠”同様、何か起きないと結びつけない夫婦。
テーマをつかめないし、残るのはただただ天井からかかっていたおもちゃ同様のスパイラル状に渦巻く運動だった気がする。いろいろなものがスパイラル運動のなかで絡まり合ってた。
それにしても別荘のリビングを水平に移動する滑らかさはなんだか空間がずれてすべっていくようで。。。俯瞰シーンも。死体はそうでした。俯瞰でした。

  • そういえば

なんでこの映画、R15?

映画を見に行くときは、いつも彼のビジョンを見に行っているのだと思う。でも、今日なら例えば柄本明が石で死体を潰すときの音を聞き続けるときのカラダを硬直がそれに先行する。